Brillerシリーズ続編 水と光の原風景
12月に展開される25HD CollectionのBrillerシリーズは、前回のジャーナルでも触れた“流動する光”を、さまざまな角度から解釈した作品です。10年以上愛され続けてきたコレクションとしてブランドのアイコンとなりましたが、そのデザインの根源には、学生時代に触れた “水と光の記憶” があります。 出身地の福岡から隣県の熊本へ向かい、阿蘇や菊池の渓谷に、季節問わず足を運んだ日々。あの場所で見た水面の揺らぎや森に差し込む光は、今も心に残る原風景です。 そして今年、奈良の天河を訪れたとき、そこで出会った渓谷の風景が、あの頃の記憶と重なりました。 小川の水に触れながら、小石たちを夢中で動画に収めていた時間。水面に差し込む光、小石のまわりを流れる水や空気。そのささやかな時間のすべてが、旅の記憶として刻まれました。 今回のBrillerシリーズは、あの日の景色や感覚を投影できたのではないかと思っています。そして、旅の断片が作品としてひとつの形になり、25HD Collectionとして登場します。 一つ目は、造形と天然石の特性から追求し、角度によって異なる色相を生み出す光です。それは、水面が光を受けた瞬間に見せる、一瞬ごとの表情と重ね合わせました。 ラブラドライトは、角度によって青光や緑光が走る“ラブラドレッセンス”を持ち、オパールは、多色の遊色が浮かぶ“プレイオブカラー”を宿しています。どちらも内部構造が光を分散させ、水面で起こる屈折や反射の現象と重なり合います。 シーブルーカルセドニーは、角度で色は変わらないものの、水深の違いを思わせる濃淡を内包したレイヤーそのもののような静かな表情を持ちます。 そしてリングに施した凹凸は、風が通り抜けたあとの水面の揺らぎや、光が跳ね返る微細な乱反射を抽象化した造形です。すべての天然石に個体差があり、すべての光が一瞬ごとに異なる表情を見せます。 二つ目は、川の流れに乗って角が削られ、水面の光とともにきらめく小石をイメージしたPebbleリングです。 今回は、形も質感も異なる三つの小石の姿を表現しました。並んだ三つのPebble=小石の上に、K10を一点ずつ手作業で溶接することで、それぞれが異なる表情を魅せながら、水面で光が跳ねる瞬間のきらめきとなっています。 定番でも展開しているBrillerシリーズと大きく異なる点は、三箇所の溶接を同時に成立させる必要があるため、それぞれの光のリズムを揃えるように、極めて繊細な調整を要する工程であることです。 そして、凹凸がマニッシュな雰囲気を生むため、性別を問わず身に着けやすいよう、程よいボリュームのフォルムに仕上げました。 三つ目は、“冬”のBriller。水面が凍りついたときに生まれる静かな表情を、二つの天然石で表現しました。 まず使用したのは、荒削りの質感が印象的な“かっこみ水晶”。 “かっこみ”とは、山梨の水晶加工で受け継がれてきた伝統的な工程で、原石から大まかなボリューム決めるために、タガネを当てて手作業で石を削り落とす加工のことです。現在では、この工程の多くが機械によって行われるようになりました。手作業の“かっこみ”は、破片が飛び散る危険があり、クラックの入り方によっては意図しない方向に割れてしまうこともあるため、材料ロスのリスクが高く、現代の制作現場ではほとんど行われなくなったとされています。 だからこそ、手作業で生まれた“かっこみ”の跡には、機械では再現できない不規則な削れ方と、偶然が刻む唯一無二の表情が宿ります。 今回使用している水晶は、そうした手作業の時代に加工されたものが、デッドストックとしてわずかに残っていたものを譲っていただいた希少な素材です。氷が張った水面に冬の光が触れたときのような、繊細できらめく反射をつくり出しています。 もうひとつは、“ラズライト in クオーツ”。ラズライトの深いブルーに、クオーツの透明感が重なることで生まれた、白から水色へと移ろうバイカラーの天然石です。...