Sense of Wonder
今回のジャーナルでは、まもなく発売となる26AW Collectionの背景にある思考やそのルーツについてお話ししていきます。
2021年より発表し続けているボディシリーズで表現してきた身体の物語を、より深いレイヤーへと潜らせた続編として、月の軌道と身体に宿る循環、その関係性に着目し、そこから生まれるリズムを軸にコレクションを制作しました。
私にとって月は、幼い頃からずっと身近な存在でした。その理由の一つは、私自身の名前に「月」が含まれていることです。
母の名前には「明」が入っているのですが、私はその「月」を並べて「朋」、弟はその「日」を並べて「昌」という由来を持っています。
幼い頃の私は、「私は月、弟は月を照らす太陽なんだ」と思っていましたし、素敵な名前をつけてもらったことに感謝しています。
そして月を眺めて、ただただ想いを馳せていると、どこか遠い宇宙へ飛んでいける気がすることを大真面目に考えていた不思議な小学生でした。
月をモチーフにしたジュエリーはこれまでも制作してきましたが、もっと深いレイヤーで月との関係性からインスピレーションを受けたものを作ってみたいという想いを、今回ようやく一つのコレクションとして形にすることができました。
月は私にとって個人的な存在である一方で、身体との深いつながりも感じています。日本語では、身体を司る漢字に「月」が多く使われています。また、古くから月のリズムは身体の巡りとも重なると考えられてきました。
今日は少し肌の調子が悪いなと思う日が満月だったり、意識していなくても、どこか身体と月はつながっているように感じる瞬間があります。
そして月は一定の軌道を巡りながら、太陽との関係によってさまざまな表情を見せます。同じ月でありながら、その姿は日々少しずつ変化し続けています。
月の変化と身体との関係性から、軌道、循環、リズム、光という言葉が、このコレクションを形づくるキーワードとなりました。
この世界観を表現するために選んだ素材として、古来より月と深い関わりを持つムーンストーンを満月の象徴に、ダイヤモンドを月の光に見立て、コレクション全体に使用しました。ムーンストーンには、ホワイト以外にオレンジやグレーなどが存在しますが、ホワイトを選んだのは、夕暮れ時に現れる太陽と共存する白い月にいつも魅了されているからです。

ムーンストーンを配し、動きのある曲線を取り入れたデザインは、身体のリズムと呼応しながら軌道を描き、巡り続ける月と重ね合わせています。
ビジュアルの卵は、生命の根源を象徴するモチーフとして取り入れましたが、ルック全体を通してご覧いただくことで、物語の断片を拾い集めるような世界観を感じていただけたらと思います。

今回のビジュアルに登場したレオパは、この月というテーマから必然的につながった存在です。月を象徴する黄色の生き物を登場させたいと新作を作りながら選んだのですが、たまたま種類がゲッコーで、その響きが月光と重なったことに、どこか運命めいたものを感じました。
撮影時、小学生以来トカゲと触れ合い、幼少期へふっと戻され、道端で見つけたトカゲを捕まえて大切に筆箱にしまい、授業中に時々覗き込んでいた日のことを思い出しました。あの頃の私は、ただ純粋に生きている命の世界を知りたい好奇心そのものでした。
その感覚は今もなお、ものづくりに夢中になれる気持ちと繋がっているように感じます。
今回、サブタイトルとして “Sense of Wonder” と名付けたのも、この感覚が原点にあるからです。

今回のコレクションでも、ギミックを取り入れたデザインがいくつか登場しますが、いつまでもあの頃のワクワクする気持ちを大切にしたいという想いからです。

ロイヤルブルームーンストーンは中心を巡る月として、オニキスは地球から見えなくとも存在する新月として取り入れました。

このプロップの銀杏は、卵との共通点でもある殻の中に黄色い実を宿す存在として取り入れました。またピアスもその実のように、パーツを取り外せる2WAY仕様となっています。

ダイヤモンドをあしらった三日月モチーフのアイテムは、月の中でもっとも女性的な存在として、その繊細で儚い光と美しい佇まいを、身体の曲線と呼応するように表現しています。
身体の一部として身につけていただけるように、コレクションの中でもっともミニマルなデザインに仕上げました。
26AW Collectionは今月から9月にかけて発売いたします。
月に惹かれ続けた私のルーツと、幼い頃の小さな冒険心がひとつにつながったコレクションをご覧いただけたら幸いです。
また直営店では、月のリズムと重ね合わせたコレクションの世界観が体感できる展示をしております。

風と光によって静かに移ろう情景をぜひご鑑賞ください。